ADHD・ASDで障害年金を申請する際の注意点とは?
ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)は、「発達障害」の一種として知られています。これらの症状は外見からは分かりにくく、周囲の理解が得られにくいことも多いため、障害年金の申請に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ADHD・ASDで障害年金を申請する際に押さえておきたい注意点と成功のポイントを解説します。
ADHD・ASDとは?
■ ADHD(注意欠如・多動症)
ADHDは、主に以下の3つの症状が見られる発達障害です。
- 不注意(物をなくす、ミスが多い、集中が続かない)
- 多動性(じっとしていられない、落ち着きがない)
- 衝動性(思ったことをすぐ口にする、順番を待てない)
■ ASD(自閉スペクトラム症)
ASDは、以下のような特徴を持つ障害です。
- 対人関係の困難(空気が読めない、距離感がつかめない)
- コミュニケーションの障害(言葉の裏の意味が分からない)
- 強いこだわりや感覚過敏(習慣の変化に極端に弱い、音や光に敏感)
ADHD・ASDは障害年金の対象になるのか?
ADHD・ASDは、「精神の障害」として障害年金の対象になります。ただし、重要なのは診断名そのものではなく、「日常生活や就労にどれだけ支障が出ているか」です。
以下のような状況に該当する場合、受給の可能性があります。
■ 対象になりやすいケース
- 社会人としての就労が難しく、就労支援施設に通っている
- 日常生活に家族や支援者のサポートが欠かせない
- 対人トラブルが多く、長期の人間関係の維持が困難
- 学校生活が適応できず、不登校や転校を繰り返した
- ADHD・ASDによる併存障害(うつ病や不安障害など)を併発している
反対に、就労や通学が安定しており、社会生活が比較的自立していると判断されると、受給は難しくなることもあります。
初診日の特定と年金制度の確認
障害年金を申請するには、まず「初診日」を確定する必要があります。
初診日とは、ADHD・ASDによる症状で初めて医療機関を受診した日のことです。
初診時の状態 | 年金制度 | 受給できる年金 |
---|---|---|
20歳未満 | 無加入(20歳前障害) | 障害基礎年金 |
国民年金加入中 | 国民年金 | 障害基礎年金 |
厚生年金加入中 | 厚生年金 | 障害厚生年金(3級まで) |
発達障害は幼少期から症状があることが多いため、「20歳前障害」として申請するケースが多くあります。
ADHD・ASDで申請する際の注意点
① 病歴・就労状況等申立書は非常に重要
この書類は、本人または家族が生活の困りごとや職場・学校での状況を時系列で記入するものです。
ポイントは、以下のような実態を具体的に書くことです。
- 就職しても人間関係のトラブルで短期間で退職を繰り返している
- 感覚過敏が強く、満員電車や騒音が苦手で外出が困難
- 規則的な生活が維持できず、予定を立てても実行できない
- 家族のサポートなしでは服薬管理や金銭管理ができない
本人が「できている」と思っていても、周囲の支援があって成り立っている場合が多いため、客観的な視点で記述することが大切です。
② 診断書の内容と申立書の整合性が重要
医師が記載する「精神の障害用診断書(様式第120号の4)」では、以下の7つの項目が評価されます。
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び対人関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
これらが「自立してできている」と評価されると、年金の等級が下がる、または不支給となる場合があります。診断書には、生活実態に即した評価がなされるよう、医師に丁寧に説明する必要があります。
③ 医師との連携は慎重に
ADHD・ASDは診断がついていても、医師によっては「障害年金の対象外」と考えていることがあります。
申請の意図をしっかりと伝え、生活の困難さを正しく診断書に反映してもらえるかどうかがカギです。
必要に応じて、診断前のメモや家族の手紙などを見せるのも有効です。
④ 学生やひきこもり状態でも申請可能
就労していない場合でも、以下のような状態であれば障害年金の対象になります。
- 不登校や通信制高校に在籍しているが通学できていない
- 引きこもり状態で外出できず、自宅で家族の支援を受けている
- 通院の同行や生活全般で家族の介助が必要
申請時には、「社会的活動がどれだけ制限されているか」を明確に伝えましょう。
まとめ|申請は早めに、正確に
ADHDやASDで障害年金を申請する場合、「病名」ではなく「生活の困難さ」が問われます。
見た目では分かりにくい障害だからこそ、書類の内容や医師への説明が極めて重要です。
一人で申請手続きを進めるのが不安な方は、障害年金に詳しい社会保険労務士への相談をおすすめします。生活実態の整理や診断書の依頼など、専門的な視点でのサポートが受けられます。
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