双極性障害(躁うつ病)で障害年金を受給するための基準とは?

双極性障害(躁うつ病)は、気分が異常に高揚する「躁状態」と、極度に落ち込む「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。この症状が長期にわたって続くと、日常生活や仕事に大きな支障をきたすことがあります。そのような状態が一定期間継続し、回復が難しい場合には、障害年金の受給対象となる可能性があります。

この記事では、双極性障害で障害年金を受給するための認定基準、申請時のポイント、注意点について詳しく解説します。


双極性障害は、以下のような2つの極端な気分の波が特徴です。

  • 躁状態:気分が異常に高揚し、活動的になる。自信過剰、浪費、攻撃性、睡眠不足でも活動できるなどの症状が現れる。
  • うつ状態:気分が極度に落ち込み、無気力や不安、不眠、食欲不振などが継続する。

これらの状態が数週間~数ヶ月の単位で繰り返され、本人の意思でコントロールするのが難しいのが特徴です。


障害年金で対象とされるのは、双極性障害によって日常生活や就労に支障が出ている場合です。以下の条件を満たすと、障害年金を受給できる可能性があります。

【1】初診日が特定できること

障害年金の申請には「初診日」の証明が必要です。双極性障害と診断される前に、「うつ病」や「不安障害」と診断されていた場合でも、その時点が初診日となります。初診日の時点で加入していた年金制度(国民年金または厚生年金)により、もらえる年金の種類や等級に違いがあります。

💡 初診日を証明するために、「受診状況等証明書」が必要です。


【2】保険料納付要件を満たしていること

初診日の前日時点で、保険料を一定期間納付していることが求められます。

  • 初診日の前々月までの直近1年間に未納がない、または
  • 初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上が納付済(または免除)であること

【3】障害等級に該当すること

双極性障害の重症度によって、次のように障害年金の等級が判定されます。

等級状態の目安年金の種類
1級日常生活が常に他人の介助を必要とする。ほぼ寝たきり障害基礎年金または障害厚生年金
2級身の回りのことはできるが、日常生活に著しい制限がある同上
3級就労が著しく制限される(厚生年金加入者のみ)障害厚生年金

※国民年金加入者は3級は対象外です。


障害年金の審査では、医師による「精神の障害用の診断書(様式第120号の4)」の記載内容が重要です。特に以下の点が審査で重視されます。

  • 自発的な外出の可否
  • 食事・入浴・着替えなど日常生活の自立度
  • 対人関係や社会的行動への影響
  • 就労能力の有無と内容

躁状態・うつ状態の両面から、日常生活への具体的な支障を記載してもらうことがポイントです。


「病歴・就労状況等申立書」は、これまでの治療経過や生活状況を記載する自己申告書です。以下のような点を具体的に書きましょう。

  • 初診日から現在までの症状の変化(躁と鬱のサイクル、入退院歴)
  • 就労していた場合は職種、勤務状況、退職理由
  • 生活上の支障(例:買い物ができない、家族の助けがないと入浴できない)

躁状態では「何でもできるような気がする」、うつ状態では「話す気力すらない」という状態になりやすく、診察で正確な症状を伝えるのが難しい場合もあります。
診断書は実際の生活実態と食い違わないよう、通院時にはメモを取って持参することをおすすめします。


原則として、初診日から1年6ヶ月経過した時点で障害状態が重ければ、障害年金の申請が可能になります。
この「1年6ヶ月経過時点」のことを「障害認定日」と呼びます。

ただし、障害認定日から3月以内の診断書が取得できない場合、「事後重症請求」として、申請時点から支給開始される形になります。


双極性障害は症状の波があり、病歴も複雑になりやすいため、自己判断での申請は困難なケースが多くあります。専門の社会保険労務士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

  • 初診日の確定と証明書類の手配
  • 医師への説明支援や診断書内容の確認
  • 病歴・申立書の代筆や添削
  • 審査に通りやすい書類作成のアドバイス
  • 不支給時の不服申立て対応

双極性障害で障害年金を申請するには、症状の実態を正確に反映した書類の準備が欠かせません。症状の波があるため、日によっては自立できていても、全体的な生活への影響が認定の基準となります。

障害年金は、経済的な安心を得て治療に専念するための重要な制度です。自分一人で悩まず、障害年金に精通した社労士へ相談することをおすすめします。


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