精神疾患で障害年金を申請する際に押さえるべきポイント5選
うつ病、双極性障害、統合失調症、発達障害、不安障害など、精神疾患による障害年金の申請は、年々増加傾向にあります。しかし、精神の障害は身体障害に比べて客観的な判断が難しく、審査においては慎重に扱われます。
そのため、精神疾患で障害年金を申請するには、いくつかの重要なポイントを押さえて準備することが不可欠です。本記事では、これまで多数のご相談を受けてきた社会保険労務士の視点から、「精神疾患で障害年金を申請する際に押さえるべき5つのポイント」をわかりやすく解説します。
① 初診日の証明ができるか?
障害年金の申請において、まず最初に求められるのが「初診日」の証明です。初診日とは、現在の障害の原因となっている精神疾患について初めて医療機関を受診した日を指します。
なぜ初診日が重要?
- 初診日の時点での年金加入状況により、受給できる年金の種類(障害基礎年金または障害厚生年金)が決まる
- 初診日から1年6ヶ月を経過しているかが、申請のタイミングに関係する
- 初診日を証明できないと申請が受理されない場合もある
初診日の証明方法
- 原則として「受診状況等証明書」が必要
- 医療機関のカルテ保存期間(5年)を過ぎていると取得が困難
- 通院歴の記憶が曖昧な場合は、知人や保険記録など第三者の証言が有効になることも
② 日常生活における支障を具体的に伝えられるか?
精神疾患による障害年金の審査では、「どのくらい日常生活に支障があるか」が判断基準になります。
つまり、症状の重さだけではなく、生活の中でどれほど困っているかが重視されるということです。
よくある支障の例
- 予定が立てられず、外出できない
- 掃除や食事の準備などの家事ができない
- 金銭管理ができず、衝動買いや浪費をしてしまう
- 対人関係が築けず、ひきこもっている
- 感情の起伏が激しく、安定した行動が取れない
どう伝える?
- 「日常生活の聞き取り票」や「病歴・就労状況等申立書」に、エピソードとともに記述する
- 「一人でできないこと」「家族の支援が必要なこと」などを具体的に書く
- 主治医の診断書とも内容を整合させることが大切
③ 医師にしっかり現状を伝えられているか?
精神科や心療内科の医師が作成する「診断書」は、審査で最も重視される書類の一つです。
医師に伝えるべきこと
- できること・できないことを具体的に説明
- 就労状況や日常生活の支障を正直に伝える
- 過去の入退院歴、服薬歴、症状の経過など
診察時に「大丈夫です」と言ってしまったり、遠慮して症状を軽く伝えてしまったりすると、診断書に実態が反映されず不利になる場合があります。
できれば、日常生活のメモや支援者の声も参考にして、正確な情報を医師に伝える準備をしましょう。
④ 就労状況が不利に働くケースも
精神疾患のある方でも、短時間の就労や障害者雇用での勤務をしているケースがあります。しかし、就労している=生活に支障がないと判断されてしまうこともあるため、注意が必要です。
審査で見られるポイント
- 働いている時間・日数・仕事内容
- 職場の配慮があるか(支援員の有無、軽作業、通院配慮など)
- 頻繁な欠勤や早退、継続的に働けない状況があるか
対策
- 障害者枠での勤務であることを伝える
- 実際には継続が困難であることや、周囲のサポートが不可欠であることを証明
- 「就労=健康」と思われないよう、背景を丁寧に説明することが重要
⑤ 専門家に相談することでスムーズに進められる
精神疾患の障害年金申請では、書類準備や医師との連携、初診日の証明など、自己判断で進めるのが非常に難しいケースが多く見られます。
そこで、障害年金専門の社会保険労務士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 複雑な通院歴の整理と初診日の特定
- 診断書作成時の医師への説明サポート
- 病歴・就労状況等申立書の作成支援
- 不支給を避けるためのリスク管理
- 審査機関への適切な対応
はじめから相談しておくことで、書類の不備や審査での不利を防ぐことができ、受給決定までの期間を短縮できる可能性が高くなります。
まとめ:精神疾患で障害年金を申請するために、まず5つのポイントを確認!
- 初診日がいつ・どこかを証明できるか
- 日常生活にどのような支障があるかを具体的に伝えられるか
- 医師に現状を正確に伝え、診断書に反映してもらえるか
- 就労状況の内容を誤解なく説明できるか
- 必要に応じて専門家の力を借りて正確に進められるか
精神疾患による障害年金の申請は、制度上は可能でも、実際に認定を受けるには慎重な準備が必要です。誤った情報や不十分な書類のまま提出してしまうと、不支給や再申請という結果になりかねません。
「自分が受給の対象になるのかわからない」「申請しても通るか不安」という方は、ぜひ一度、障害年金専門の社労士にご相談ください。あなたの症状や状況に応じた最適なサポートをご提供いたします。