初診日が国民年金と厚生年金で違う場合の申請方法とは?

障害年金を申請する際にもっとも重要なポイントの一つが「初診日」です。この初診日がいつ、そしてどの年金制度に加入していたときかによって、申請できる障害年金の種類(障害基礎年金または障害厚生年金)が決まります。

ところが、ひとつの病気であっても長期間の治療を経ていたり、再発や転院を繰り返していたりすると、「最初の症状が出たときは国民年金、その後に厚生年金に加入していた」といったケースもあります。

この記事では、初診日が国民年金加入中か厚生年金加入中かで違う場合に、どのように障害年金を申請すればいいのか?について、わかりやすく解説していきます。


まず前提として、「初診日」とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師の診察を受けた日のことです。

障害年金の申請では、この初診日が極めて重要な意味を持ちます。
なぜなら、次の2つが「初診日」で決まるからです。

  • どの年金制度(国民年金 or 厚生年金)から支給されるか
  • 保険料納付要件を満たしているかどうか

加入制度受給できる年金の種類等級主な対象
国民年金障害基礎年金1級・2級自営業・学生・無職の人など
厚生年金障害厚生年金(+障害基礎年金)1級・2級・3級会社員・公務員など

つまり、初診日が国民年金加入中であれば「障害基礎年金」しか請求できず、
初診日が厚生年金加入中であれば「障害厚生年金(+基礎年金)」を請求できます。


よくあるパターンを例で見てみましょう。

例1:うつ病のケース

  • 学生時代(国民年金)にうつ症状が出て心療内科を受診 → 初診日
  • その後、就職して厚生年金に加入
  • 数年後に再発、休職へ → 障害年金を検討

このようなケースでは、最初に受診した日(学生時代)が初診日です。
つまり、「国民年金の初診日」と判断され、請求できるのは障害基礎年金のみ(1級・2級)です。

例2:腰痛のケース

  • 自営業時代に整骨院へ通院(初診日なし)
  • 就職後、病院でヘルニアと診断 → 初診日
    この場合、医師による診察が初めて行われた日が初診日とされ、厚生年金期間中の診察であれば「障害厚生年金」を請求できます。

見極めのポイントは以下の2つです。

1. 医師の診察日かどうか

初診日は「医師による診察」があった日である必要があります。
整骨院や整体院の受診だけでは初診日と認められません。

2. 初診時の年金加入状況を確認

年金記録を確認し、初診日に加入していた制度が国民年金か厚生年金かを確認します。
年金事務所で「年金加入記録」を取得することができます。


よくある誤解として、

「今は会社員だから、障害厚生年金がもらえるはず」

という考えがありますが、これは間違いです。

障害年金の種類を決めるのは「今の状況」ではなく「初診日当時の状況」です。

つまり、今どんなに厚生年金に長く加入していても、初診日が国民年金時代であれば障害厚生年金は請求できません


もし、複数の医療機関を受診していた場合、一番最初に「医師の診察を受けた日」が初診日となります。

この「初診日」に争いが出ることが多いため、障害年金の申請では次の書類が重要です。

  • 初診の病院の「受診状況等証明書」
  • 医療機関のカルテ(保存期間が過ぎていなければ)
  • 複数の病院を転々としている場合はすべての通院歴を記載

障害厚生年金には3級という制度がありますが、障害基礎年金(国民年金)には3級がありません。

そのため、同じ障害等級相当でも、初診日が国民年金期間中だと不支給になる可能性があることも。

例:人工関節やペースメーカーの装着などは原則3級相当 → 初診日が厚生年金加入中でないと障害年金がもらえないこともあります。


  • 初診日が「障害年金の種類」と「支給の有無」を決める重要なポイント
  • 医師による診察を受けた日が「初診日」
  • 初診日時点の年金制度(国民年金 or 厚生年金)で請求できる制度が決まる
  • 現在の加入状況は関係ない
  • 判断が難しい場合は、専門家に相談を!

「自分の初診日はどこにあたる?」「障害厚生年金を請求できるか不安…」という方へ

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