精神障害で障害年金を受給するための認定基準と注意点
うつ病、統合失調症、発達障害、双極性障害など、精神障害を抱える方にとって、働くことや日常生活を送ること自体が大きな困難となるケースは少なくありません。
そのような場合に頼れる制度のひとつが「障害年金」です。
精神障害は、目に見える障害とは異なり、客観的な判断が難しいことから、審査において特に注意が必要な分野でもあります。
この記事では、精神障害で障害年金を受給するための「認定基準」と「注意すべきポイント」をわかりやすく解説します。
◆ 精神障害で対象となる主な病名
障害年金の対象となる精神疾患は多岐にわたります。以下は代表的なものです。
- 統合失調症
- うつ病(気分障害)
- 双極性障害(躁うつ病)
- 発達障害(自閉スペクトラム症、ADHDなど)
- 知的障害(療育手帳をお持ちの方)
- パニック障害、不安障害、PTSD など
※必ずしも「診断名」だけで支給の可否が決まるわけではなく、「日常生活や就労にどれだけ支障があるか」が重要です。
◆ 精神障害の認定基準とは?
精神障害で障害年金を受給するためには、「日常生活能力」が主な審査対象となります。
以下の7項目を基に、どれだけ支援が必要かを評価されます。
【日常生活能力の評価項目】
- 適切な食事摂取ができるか
- 身体の清潔保持ができるか
- 金銭管理と買い物ができるか
- 通院や服薬が自己管理できるか
- 他人との意思伝達ができるか
- 身辺の安全保持や危機対応ができるか
- 社会生活への適応ができるか
これら7項目に対して、「できる(1点)」~「できない(4点)」の4段階で評価され、合計点数が等級判定の参考となります。
【等級の目安(あくまで基準の一例)】
等級 | 日常生活の状態 | 認定の傾向 |
---|---|---|
1級 | 常時介護が必要なレベル | 日常生活のほとんどが自力でできない |
2級 | 著しい制限がある | 買い物や金銭管理が困難。引きこもりがち |
3級(厚生年金のみ) | 労働に制限がある | 就労が困難、または著しく制限されている |
◆ よくある精神障害での申請事例
■ 統合失調症の例
30代男性。妄想や幻聴の症状が継続しており、家族の介助なしでは外出や服薬管理が困難。
→【判定】2級
→【理由】日常生活に著しい制限があり、就労も不可と判断されるため。
■ うつ病の例
40代女性。強い抑うつ状態により食事や入浴もままならず、自室に引きこもって生活している。
→【判定】1級の可能性も
→【理由】日常生活全般に介助が必要な状態であることから。
■ 発達障害の例
20代男性。軽度の自閉スペクトラム症。就労しているが、対人トラブルが多く短期間で転職を繰り返している。
→【判定】3級(厚生年金)
→【理由】就労に著しい困難が見られるが、日常生活はある程度可能。
◆ 精神障害で申請する際の注意点
精神障害の場合、他の障害と比べて審査が厳しい傾向があります。特に次の点に注意しましょう。
① 医師の診断書の記載が重要
診断書には、生活面でどれほどの支障があるかを具体的に記載する必要があります。
「症状が安定している」「就労可能」と書かれてしまうと、不支給になるリスクが高まります。
▶ 対策:主治医に自分の日常生活の困難さを丁寧に伝えておきましょう。
② 通院の頻度・継続性が判断材料になる
定期的な通院がされていない場合、「症状が軽い」と判断されることがあります。
▶ 対策:月1回以上の通院を継続するのが望ましいです。
③ 病歴・就労状況等申立書が決め手になる
「いつからどんな症状が出て、どんな日常生活に支障があるか」を自分の言葉で書く重要な書類です。
この内容と診断書が一致していないと、信用性に欠けると判断されることがあります。
▶ 対策:矛盾がないよう、専門家と相談して丁寧に作成しましょう。
◆ 社労士に依頼するメリット
精神障害の申請は、書類の整合性や表現に細かな配慮が必要です。
ご自身だけで申請すると、不支給や等級の不認定になってしまうケースも少なくありません。
当事務所では、以下のようなサポートを行っています。
- 初診日の確認・証明取得のサポート
- 日常生活のヒアリングと申立書の作成支援
- 診断書作成時の医師へのアドバイス
- 書類提出前の内容チェックと補足資料の作成
初回相談は無料ですので、迷っている方はお気軽にご相談ください。
◆ まとめ
精神障害で障害年金を受給するためには、「病名」よりも「生活にどれだけ支障があるか」が重要なポイントです。
正確な診断書と申立書、そして主治医との連携が成功のカギを握ります。
ご自身やご家族が精神疾患でお悩みで、障害年金の申請を検討している場合、一人で悩まず専門家に相談することが、受給への近道です。