発達障害で障害年金の対象となるケースと受給のポイント

「発達障害でも障害年金を受け取れるの?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
発達障害は見た目では分かりにくく、症状も人によってさまざまです。そのため、障害年金の申請を迷ったり、諦めてしまったりするケースも少なくありません。

しかし、発達障害によって日常生活や就労に著しい支障がある場合は、障害年金の対象となる可能性があります。

この記事では、発達障害で障害年金の対象となるケースや、申請時のポイントをわかりやすく解説します。


発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達に偏りがあることで、社会生活に困難を抱える障害です。大きく分けて以下の3つのタイプがあります。

タイプ特徴
自閉スペクトラム症(ASD)対人関係の困難、こだわりの強さ、コミュニケーションの障害など
注意欠如・多動症(ADHD)不注意、衝動性、多動などによって行動が安定しにくい
学習障害(LD)読み書きや計算など特定の学習分野で困難がある

これらの障害は、単独で現れることもあれば、複数が重なっているケースもあります。


障害年金では、障害名そのものよりも、生活や就労への支障の度合いが重視されます。

以下のような状況にある場合は、障害年金の対象となる可能性が高くなります。

対象となりやすい例

  • 学校や職場にうまく適応できず、何度も転校・転職を繰り返している
  • 一人で外出や金銭管理、通院ができない
  • 感情コントロールが難しく、対人関係に支障がある
  • 就労はしているが、常時サポートが必要(就労移行支援などを利用)
  • 障害者手帳(特に精神3級や療育C判定以上)を持っている

反対に、仕事や学業に大きな支障がない、日常生活を自力でこなしていると判断された場合は、受給が難しいケースもあります。


障害年金では、「初診日」が非常に重要です。
初診日とは、「発達障害による症状について、初めて医療機関を受診した日」のことです。

初診日の時点で、どの年金制度に加入していたかによって、受給できる年金の種類が異なります。

初診日の時点年金制度受給できる年金
20歳未満(未加入)国民年金障害基礎年金(20歳前障害)
国民年金に加入中国民年金障害基礎年金
厚生年金に加入中厚生年金障害厚生年金(3級まで)

発達障害の場合、幼少期から症状があるため「20歳前障害」として申請するケースも多く見られます。


発達障害による障害年金の等級認定は、「精神の障害」に関する基準で判断されます。

等級生活の困難さの目安
1級常時介助が必要で、日常生活の大部分を自力で行えない
2級日常生活に著しい制限があるが、一部自力で生活できる
3級(厚生年金のみ)就労に著しい制限がある(単独で仕事ができない等)

重要なのは、等級の判断基準が「医学的診断」だけでなく、日常生活の実態を重視している点です。


① 精神の障害用診断書(様式第120号の4)

発達障害の診断を受けた精神科や心療内科の医師に記入してもらいます。

  • 対人関係能力、意思疎通能力、日常生活動作、就労能力などが評価されます
  • 医師には客観的な生活状況を正確に伝えることが重要

② 病歴・就労状況等申立書

本人や家族が記入する書類です。以下のような内容を記載します。

  • 学生時代の困難(集団行動、対人トラブル、いじめ等)
  • 社会人になってからの職場不適応や退職経緯
  • 生活の中で支援が必要なこと(服薬管理、金銭管理、通院等)

③ 初診日の証明書類(受診状況等証明書など)

幼少期から通院していない場合、「どこが初診か」が不明瞭になりやすいです。
記録が残っていない場合は、通学記録、療育手帳、母子手帳などを参考にして整理する必要があります。


✔ 医師との信頼関係を築く

医師に「日常生活でどれだけ困っているか」を正確に伝えることが、診断書の内容に大きく影響します。診察時には家族の同席や、生活の様子をメモにまとめて持参するのも有効です。

✔ 自己評価と実態の差に注意

本人が「できているつもり」でも、実際は周囲の支援がなければ生活できていないことがあります。申請書類では、主観より客観的事実を重視しましょう。

✔ 書類の一貫性が大切

診断書と申立書の内容に矛盾があると、審査で不利になることがあります。すべての書類で「生活に支障がある」ことが一貫して伝わるように構成しましょう。


発達障害で障害年金を受け取るには、制度の理解・医師との連携・適切な書類作成が欠かせません。

症状が目に見えにくい分、生活実態を丁寧に書類に反映させることが重要です。自分ひとりで進めるのが難しいと感じたら、障害年金に詳しい社会保険労務士に相談するのがおすすめです。


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