身体障害で障害年金を申請する際のポイントと必要な診断書

身体に障害が残ったとき、「日常生活が不便になった」「仕事が続けられなくなった」など、生活に大きな支障が出ることがあります。そんなとき、頼れる制度のひとつが障害年金です。

ただし、障害年金を受給するためには、制度のしくみを正しく理解し、ポイントを押さえて申請手続きを行う必要があります。 特に、身体障害に関する診断書の内容は、認定に大きく影響します。

この記事では、身体障害で障害年金を申請する際の重要なポイントと、必要となる診断書の種類や注意点を詳しく解説します。


身体障害といっても、障害年金の対象となるのは一部のケースに限られます。主に次のような病気やケガが対象になります。

■ 対象例

  • 脊髄損傷(四肢麻痺・対麻痺など)
  • 人工関節や人工骨頭の置換手術後
  • 下肢の切断
  • 変形性関節症や関節リウマチによる可動域制限
  • 筋ジストロフィー
  • 上肢または下肢の機能障害(握力低下・歩行困難など)

障害の程度が日常生活や労働能力にどの程度影響しているかが重要な評価基準です。


障害年金には1級・2級・3級があります(国民年金は1級・2級のみ)。身体障害で認定される際の基準は以下のとおりです。

等級認定の目安
1級常時の介助が必要なレベル。自力で移動や日常生活が困難
2級日常生活に著しい制限があり、仕事も困難
3級労働に制限がある程度(厚生年金のみ対象)

移動や着替え、入浴、排泄などの日常生活動作(ADL)が、どの程度自力で行えるかが、重要なポイントになります。


障害年金申請では、傷病ごとに所定の様式の診断書を提出する必要があります。身体障害に関しては、主に以下の診断書が使用されます。

■ 身体の障害用 診断書の様式例

障害の部位使用する診断書の様式
上肢または下肢120号の3(肢体の障害用)
脊髄損傷同上(肢体の障害)
関節リウマチ同上(またはその他の様式)
人工関節・切断同上

この診断書では、関節の可動域、筋力、日常生活能力、移動の状態などを具体的に医師に記載してもらう必要があります。


診断書の内容次第で、障害年金の認定結果が大きく変わることもあります。医師に依頼する際は、以下の点を意識しましょう。

● ポイント①:日常生活で困っていることを具体的に伝える

「歩行は何メートルまで可能か」「着替えや排泄は介助が必要か」など、実際の生活状況をできるだけ具体的に伝えましょう。

● ポイント②:一番状態が悪いときに合わせてもらう

診断書は「普段の平均的な状態」よりも「障害が最も重い状態」で記載してもらうことで、実態に即した評価がされやすくなります。

● ポイント③:申請用の診断書であることを明確に伝える

通常の診断書と違い、障害年金用の診断書には様式が決まっており、特殊な記載が必要です。 必ず「障害年金申請用」であることを伝えましょう。


身体障害による障害年金申請の大まかな流れは次のとおりです。

  1. 初診日の特定と証明書類の取得
  2. 診断書の依頼・受け取り
  3. 病歴・就労状況等申立書の作成
  4. 申請書類一式の提出(年金事務所または社労士を通じて)
  5. 審査期間(2〜3か月程度)
  6. 支給決定 or 不支給の通知

身体障害の程度や診断書の内容をうまく整えるには、専門的な知識と経験が必要です。 特に次のような方には、社労士への依頼がおすすめです。

  • 医師にどう説明していいか分からない
  • 自分の障害が対象になるか不安
  • 書類作成が難しいと感じる

社労士に依頼することで、適切な診断書の取得や申請書類の整備、審査対応までフルサポートを受けることができます。


身体障害で障害年金を申請する際には、

  • 自分の障害が認定対象か確認
  • 診断書の様式・記載内容の重要性
  • 医師との連携や準備が成功の鍵

という点が非常に重要です。

ご自身での申請に不安がある場合は、障害年金専門の社労士にご相談ください。あなたの生活を支える制度として、障害年金をしっかり活用しましょう。