障害年金の「認定日請求」と「事後重症請求」の違いを解説

障害年金の申請には、「認定日請求」と「事後重症請求」の2つの方法があることをご存じでしょうか?

「初診日から1年6か月経った時に申請するのが認定日請求?」 「事後重症って、遅れて申請するってこと?」

どちらも障害年金を申請する際の大切な選択肢ですが、それぞれに特徴やメリット・注意点があります。この記事では、障害年金の請求方法である「認定日請求」と「事後重症請求」の違いをわかりやすく解説します。


障害年金は、一定の障害状態に該当する方が受給できる年金制度ですが、請求のタイミングや内容によって年金が支給される時期や金額が変わってくることがあります。

そのため、申請者が「どの時点で障害状態にあったか」を証明することが非常に重要になります。その証明方法によって分かれるのが、「認定日請求」と「事後重症請求」です。


◎ 定義

初診日から起算して1年6か月経過した時点(=障害認定日)に、障害等級(1級・2級・3級)に該当していたことを証明して行う請求です。

◎ ポイント

項目内容
請求タイミング障害認定日時点(原則、初診日から1年6か月)で障害状態にあった
必要な診断書障害認定日時点の診断書(+現在の診断書が必要な場合も)
年金の支給開始原則として認定日の翌月分から遡って支給される

◎ メリット

  • 支給が認定日の翌月分から開始されるため、過去にさかのぼって受給できる
  • 遡って最大5年分まで年金を受け取れる可能性がある

◎ デメリット

  • 障害認定日時点で診断書を書いてくれる医療機関がない場合、証明が困難になる
  • 認定日時点で軽症だった場合は不支給となることも

◎ 定義

障害認定日時点では障害等級に該当しなかったが、その後に障害状態が重くなった(等級に該当するようになった)場合に行う請求です。

◎ ポイント

項目内容
請求タイミング認定日以降の時点で等級に該当したと判断されたとき
必要な診断書現在の障害状態を証明する診断書のみで申請可能
年金の支給開始請求月の翌月から支給開始(遡及支給なし)

◎ メリット

  • 現在の状態が重ければ請求できる
  • 障害認定日当時の資料がなくても申請できる
  • 診断書が1通で済む場合が多く、準備が比較的しやすい

◎ デメリット

  • 過去にさかのぼって支給されない
  • 請求が遅れれば遅れるほど、受給開始が遅れ損失になる

比較項目認定日請求事後重症請求
請求の対象時点初診日から1年6か月後(認定日)現在の障害状態
必要な診断書認定日当時の診断書(+現在の診断書)現在の診断書のみ
年金の支給開始時期認定日の翌月(※遡及あり)請求月の翌月(※遡及なし)
支給開始の早さ過去分も含められる可能性あり原則として請求月の翌月以降のみ
メリット遡って年金がもらえる可能性現在の診断書だけで請求できる
デメリット認定日時点の資料が必要請求が遅れるとその分受給も遅れる

申請時点での状況によって、どちらで請求すべきかが変わってきます。以下のフローチャートで簡単に確認してみましょう。


【請求方法の選び方チェック】

Q1. 障害認定日(初診から1年6か月後)に障害状態が重かったか?

YES → 認定日請求が可能!

 → 認定日時点の診断書が取得できれば、過去にさかのぼって支給される可能性があります。

NO → 事後重症請求で検討

 → 現在の障害状態が等級に該当していれば、診断書1通で申請できます。


認定日請求か、事後重症請求かの判断を間違えると、「本来もらえたはずの年金がもらえなかった…」という事態になりかねません。

また、以下のようなケースでは、社労士などの専門家に相談することで、より確実な申請が可能になります。

  • 認定日時点の病院がすでに閉院している
  • 障害認定日と現在の状態で等級が違う
  • 初診日があいまいで書類がそろわない
  • どちらの請求方法が有利なのか判断が難しい

障害年金の請求方法である「認定日請求」と「事後重症請求」には、それぞれ異なる特徴があります。

| 認定日請求 | → 認定日(1年6か月後)時点で障害状態が重かった人向け。過去にさかのぼって支給される可能性あり。 | | 事後重症請求 | → 認定日には軽かったが、その後障害状態が重くなった人向け。現在の状態で請求可能。 |

請求方法の選択を誤ると、本来受けられるはずの年金を逃してしまうこともあります。書類準備や診断書の取得には時間がかかることもあるため、早めの準備と相談がカギです。

障害年金の申請を検討している方は、ご自身の状況を正確に把握し、適切な請求方法を選びましょう。迷ったときは、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。