障害年金の「事後重症請求」とは?いつ申請すべきか?
障害年金の申請にはいくつかの方法がありますが、その中のひとつが「事後重症請求」です。
「初診から1年6ヶ月経ってからその後、障害が悪化したけど、今からでも申請できるの?」 「障害認定日には軽かったけど、今は仕事や生活がつらい…」
こうした方に該当する可能性があるのが、この「事後重症請求」です。
この記事では、事後重症請求の仕組みや要件、注意点、申請タイミングについて分かりやすく解説します。該当する可能性がある方は、申請のチャンスを逃さないように、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも「事後重症請求」とは?
障害年金では、初診日から1年6ヶ月後の時点(障害認定日)で障害の状態が一定以上である場合に申請する「障害認定日請求」が基本です。
しかし、障害認定日の時点では障害の程度が軽かった方でも、その後に症状が悪化して障害状態になった場合には、「その時点以降に請求できる制度」として「事後重症請求」が認められています。
◎ 事後重症請求とは?
障害認定日時点では等級に該当しなかったが、現在は等級に該当する障害状態にある場合に行う請求方法のことです。
◎ ポイントまとめ
項目 | 内容 |
---|---|
初診日 | 重要(納付要件や被保険者種別に関係) |
認定日 | 1年6ヶ月後だが、その時点では等級に該当していない |
請求時点 | 現在の障害状態が等級に該当する |
年金の支給開始 | 請求した月の翌月分から支給(過去にはさかのぼらない) |
対象になるのはどんな人?
以下のような方は、事後重症請求の対象になる可能性があります。
✅ 病気や障害の初診日から1年6ヶ月後には軽症だった
(例)うつ病で通院していたが、障害認定日には社会復帰していた。
✅ その後に症状が悪化して、日常生活や就労に大きな支障が出ている
(例)最近は就労が困難になり、生活も家族の援助なしでは成り立たない。
✅ 現在の障害状態が、障害等級(1級〜3級)に該当していると考えられる
事後重症請求をする際の流れ
事後重症請求は、一般的な障害年金申請と手順は似ていますが、認定日請求とは必要書類や提出時期に違いがあります。
① 初診日の特定・確認
まずは初診日を証明できる医療機関を特定し、「受診状況等証明書」を取得する必要があります。
② 保険料納付要件の確認
初診日の時点で、必要な期間分の保険料を納付または免除していたかを確認します。
③ 現在の障害状態の診断書を取得
障害年金用の診断書(現在の状態に基づく)を、現在通院している医師に作成してもらいます。
④ 病歴・就労状況等申立書の作成
発症から現在までの病状の経過や生活の状況などを記載した申立書を作成します。
⑤ 申請・審査
書類一式を年金事務所に提出し、審査が行われます。審査には通常3〜6ヶ月程度かかります。
事後重症請求のメリット・デメリット
メリット
- 障害認定日に該当しなかった人でも申請できる
- 症状の悪化後でもチャンスがある
デメリット
- 支給は「請求月の翌月」からになるため、過去にさかのぼって受給できない
- 障害認定日から現在までの間の空白期間については受給できない
いつ申請すべきか?【タイミングの見極め】
事後重症請求は、「現在の障害状態が等級に該当していると判断できる時点」での申請が重要です。
◎ 申請前に確認すべきポイント
- 日常生活で家族の援助が必要になってきた
- 就労が難しくなっている、または退職した
- 主治医から「日常生活や就労に制限が必要」と言われている
- 精神的に外出や対人関係が困難になってきた
※医師とよく相談した上で、診断書の記載内容を確認することが大切です。
事後重症請求に失敗しないためには?
申請書類の中でも、診断書と病歴・就労状況等申立書は非常に重要です。特に事後重症請求の場合は、現在の状態に焦点を当てた具体的な記述が求められます。
以下の点に注意して準備しましょう。
- 日常生活にどのような支障があるか、具体的に記載
- 就労状況や職場での配慮が必要なことを明記
- 通院の頻度や薬の副作用なども記載
また、申請のタイミングを逃すと、受給開始が遅れ、結果的に損をしてしまうこともあります。
専門家に相談することで、安心・確実な申請を
事後重症請求は、制度の仕組みがやや複雑で、書類不備や診断書の内容次第で不支給になることもあります。
障害年金専門の社労士に依頼することで、以下のようなサポートが受けられます。
- 初診日の確定と書類取得
- 診断書内容の事前チェック
- 病歴・就労状況等申立書の作成支援
- 不支給リスクの事前対策
ご自身で進めることが不安な方や、過去に不支給となった方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
「事後重症請求」は、障害認定日時点で障害の程度が軽かった方でも、現在の症状が重くなっていれば受給を目指せる方法です。
ただし、請求のタイミングや書類の記載内容によっては、結果が左右されやすいため、慎重な準備が必要です。
もし少しでも該当するかもと思ったら、まずは自分の初診日と現在の状態を確認することから始めてみましょう。
そして、不安な点があれば、障害年金に詳しい社労士に相談することで、安心して申請を進めることができます。