障害年金の1級・2級・3級の違いを事例で解説
障害年金の申請を考える際、「等級によってどんな違いがあるの?」「自分はどの等級に該当する可能性があるのか?」と悩まれる方は多いのではないでしょうか。障害年金は、障害の程度に応じて1級・2級・3級に分かれており、それぞれ支給額や認定基準が異なります。
今回は、障害年金の等級ごとの違いをわかりやすく整理し、実際の事例を交えて解説していきます。
◆ 障害年金の等級とは?基本の仕組みを知ろう
障害年金には、主に以下の3つの等級があります。
等級 | 対象制度 | 支給対象者の状態 |
---|---|---|
1級 | 国民年金・厚生年金 | 日常生活のあらゆる場面で常時介助が必要 |
2級 | 国民年金・厚生年金 | 日常生活に著しい制限がある |
3級 | 厚生年金のみ | 労働に制限があるが日常生活はある程度できる |
つまり、国民年金に加入していた方は1級または2級のみが対象で、3級は厚生年金に加入していた方だけが対象となります。
◆ 等級による支給金額の違い
支給額は年によって改定されることがありますが、2025年度の目安は以下の通りです。
- 1級(国民年金):約103万円/年(2級の1.25倍)
- 2級(国民年金):約83万円/年
- 3級(厚生年金):報酬額に応じて計算(最低約60万円/年)
厚生年金の場合は、報酬比例部分が加算されるため、加入期間や給与額により支給額が変動します。
◆ 【事例で比較】1級・2級・3級の違い
ここからは、代表的な障害の事例をもとに、それぞれの等級の違いを具体的に見ていきましょう。
■ ケース1:うつ病の方の場合
▶ 1級の事例
40代男性。重度のうつ病により、ほとんど寝たきりで、食事・排泄・着替えも介助が必要。外出はほとんどできず、常時家族が見守っている状態。
→【判定】障害等級1級
→【理由】常時の介助が必要で、社会生活が極めて困難なため。
▶ 2級の事例
30代女性。通院しながら在宅療養を続けており、日常生活の多くが困難。食事は自力で可能だが、買い物や金銭管理は不可。外出は家族の付き添いが必要。
→【判定】障害等級2級
→【理由】日常生活の多くに支障があり、社会復帰が困難と判断される。
▶ 3級の事例(厚生年金加入者)
50代男性。復職しているが、配置転換により業務量が大幅に制限されており、通常勤務が困難。服薬治療と定期通院が続いている。
→【判定】障害等級3級
→【理由】就労に制限があるが、日常生活はある程度可能と判断される。
■ ケース2:糖尿病による合併症
▶ 1級の事例
人工透析を受けており、視覚・神経障害も併発。歩行や排泄に介助が必要で、常時家族の手助けが不可欠。
→【判定】障害等級1級
▶ 2級の事例
週3回の人工透析を継続。通院以外の外出は困難で、日常生活に著しい支障がある。
→【判定】障害等級2級
▶ 3級の事例(厚生年金加入者)
インスリン注射が必要な糖尿病。腎機能に低下が見られるが、就労は継続している。ただし勤務時間の短縮などの配慮を受けている。
→【判定】障害等級3級
◆ 等級は「病名」ではなく「状態」で決まる
ここで強調したいのは、等級の判定は病名によって決まるのではなく、「日常生活や労働にどれだけ支障があるか」で決まるということです。
つまり、同じ病名でも「1級になる人」もいれば、「2級にも該当しない人」もいます。
◆ 障害年金の等級を決める判断材料
等級の認定において特に重要視されるのは、次の3つです。
- 診断書の記載内容
医師が記載する診断書には、具体的な支援の必要性や行動の制限などが問われます。 - 病歴・就労状況等申立書
日常生活の困りごとを詳細に記載する書類。実態と医師の診断内容の整合性が求められます。 - 初診日や納付状況の正確性
要件を満たしていない場合、内容がどれだけ正しくても審査対象外となります。
◆ まとめ:自分の等級を正しく理解するために
障害年金の等級は、単に「重い病気=高い等級」という単純な構造ではありません。日常生活や労働能力への具体的な支障がどの程度かが、審査の大きな鍵となります。
申請を検討している方は、まずご自身の生活状況を客観的に見つめ、どの等級に該当する可能性があるかを把握することが大切です。
当事務所では、初回の無料相談から等級の見込み判定、診断書作成時のポイント指導まで、トータルでサポートしています。自分ひとりで判断が難しいという方も、ぜひお気軽にご相談ください。