保険料を払っていなくても障害年金を受け取れるケースとは?
障害年金の申請を考える中で、「これまで年金保険料をちゃんと払っていなかったけど、もらえるの?」という不安を感じている方も多いのではないでしょうか。障害年金には一定の「保険料納付要件」があるため、納付状況が不十分な場合、原則として受給できません。
しかし、一部のケースでは保険料を払っていなくても障害年金を受け取れる場合があります。
この記事では、そんな特例ケースやその条件、注意点などをわかりやすく解説します。
◆ 原則:障害年金をもらうには「保険料納付要件」が必要
まず、障害年金には「初診日」において以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
保険料納付要件(原則)
- 初診日のある月の前々月までの期間において、加入期間の2/3以上の保険料を納めている(または免除されている)
もしくは、
- 直近1年間に保険料の未納がない
この「納付要件」を満たしていないと、たとえ障害の程度が重くても障害年金は原則として支給されません。
◆ では、保険料を払っていなくてももらえるケースとは?
ここからが本題です。実は、次のようなケースでは保険料の納付要件が問われない(=未納でも受給できる)可能性があります。
ケース①:20歳前に初診日がある場合(20歳前障害)
20歳前に病気や障害の原因となる症状が現れ、医療機関を受診した場合は、「国民年金に加入する前」の出来事として扱われ、保険料納付要件は不要となります。
【ポイント】
- 支給されるのは「障害基礎年金」のみ(障害厚生年金は対象外)
- 知的障害、発達障害、先天性疾患などで該当するケースが多い
【例】
発達障害で10代の頃から通院していた方が、20歳以降も就労が難しい状態にある場合、「20歳前障害」として障害基礎年金を請求できます。
ケース②:学生納付特例や免除期間中の初診
大学生や無職期間中など、年金の納付が免除されていた期間中に初診日がある場合、その期間は「保険料を納付していた」と同じ扱いになります。
【対象となる期間】
- 学生納付特例制度を利用していた
- 保険料免除・猶予を申請し承認されていた
- 失業等による免除が認められていた
つまり、「実際には払っていなかったけれど、制度に基づく正当な免除だった」場合は、納付要件を満たしていると見なされ、障害年金の請求が可能になります。
ケース③:厚生年金加入中の初診日で、かつ納付要件を満たしている
これは厳密には「払っていなくてもよい」という話ではありませんが、会社員や公務員として厚生年金に加入していた期間中の初診であれば、基本的に納付要件は満たしていることが多くなります。
厚生年金保険料は給与天引きで納められているため、「自分で払っていた意識はないけれど、実際には納付されていた」ケースです。
◆ 注意点:未納がある場合は社労士に相談を!
保険料の未納があると「もう無理だ」と諦めてしまう方もいますが、実は納付要件を満たしているケースや、20歳前障害のような特例に該当する場合があります。
一方で、「学生納付特例を出していたつもりが未申請だった」「免除申請が通っていなかった」などのトラブルも多いため、納付履歴や記録をきちんと確認することが大切です。
◆ 自分が該当するかどうかを確認するには?
以下のポイントを確認することで、自分が受給できる可能性があるかを把握できます。
確認項目 | チェックポイント |
---|---|
初診日はいつか? | 20歳前か、加入中か、免除期間中か |
保険料の納付状況は? | 未納が多い?直近1年の納付は? |
学生だった期間の扱いは? | 学生納付特例の申請をしていたか? |
障害の状態と就労状況は? | 障害等級の基準に該当する可能性があるか? |
年金事務所や社労士への相談歴は? | 調査や申請を始めているか? |
◆ まとめ:保険料を払っていなくても可能性はゼロではない
「年金を払っていないから、障害年金は無理だろう」と自己判断で諦めるのは非常にもったいないことです。
重要なポイント:
- 20歳前に発症した場合、保険料納付要件は不要
- 免除制度や学生特例を利用していた場合も対象になる可能性あり
- 厚生年金加入中の初診であれば納付要件を満たしているケースが多い
ご自身の状況が受給対象かどうか分からない方は、障害年金専門の社会保険労務士に相談するのが最善の方法です。
当事務所では、保険料の納付要件や通院歴の確認、受給可能性の診断を丁寧に行い、あなたに最適な申請方法をご案内しています。お気軽にお問い合わせください。