障害年金の支給停止とは?どんな場合に受給が止まるのか?

障害年金は、病気やケガで生活や仕事に支障が出た方に対して支給される公的な年金制度です。しかし、「一度受給が決定すればずっともらえる」と思っている方も多いのではないでしょうか?

実は、障害年金には“支給停止”という制度があり、ある条件を満たすと支給が止まることがあります。

今回は、支給停止の理由や該当するケース、事前にできる対策について詳しく解説します。


障害年金の支給停止とは、一時的または継続的に年金の支給が止まることを指します。停止の原因はいくつかありますが、主に次のようなものが挙げられます。

  • 障害の状態が改善した
  • 就労状況が大きく変わった
  • 所得や収入に変化があった
  • 必要な手続きを行っていない

つまり、「受給が決まったからといって、永続的に支給されるとは限らない」のが障害年金の特徴です。


① 障害の状態が軽快・改善した

障害年金の受給には、等級に応じた「障害の程度」の基準があります。更新(再認定)の際に、障害の状態が基準より軽くなっていると判断された場合、支給が停止されることがあります。

例:

  • 精神疾患で日常生活が困難だったが、服薬や治療で改善し、就労可能な状態になった
  • 内科疾患で通院治療を続けていたが、日常生活に支障がなくなった

更新の際に提出する「診断書」の内容が審査の鍵になります。


② 就労や収入の状況が大きく変わった

障害年金は、「日常生活や労働に制限があるかどうか」が重要な判断基準です。フルタイム勤務や高収入がある場合、「働けている=障害が軽い」と判断される可能性があります。

ポイント:

  • フルタイムや正社員として働いている
  • 収入が一般的な労働者と同程度ある
  • 業務内容が高度で責任のある内容である

これらに該当する場合、支給停止や等級変更の対象となる場合があります。


③ 更新手続きをしなかった・遅れた

障害年金の受給には、定期的な「更新審査」が設けられています。

更新月(誕生月を基準にした月)に必要書類を提出しないと、「現状が確認できない」と判断され、一時的に支給が止まる(=支給停止)可能性があります。

よくあるケース:

  • 更新の案内が届いたが手続きが面倒で放置してしまった
  • 病院の診断書が間に合わなかった
  • 引っ越しや入院で手続きの案内に気づかなかった

※支給停止後も、手続きをすれば再開されるケースもありますが、未手続き期間の年金が支払われない可能性もあります。


④ 年齢や制度上の制限によるもの

特に障害基礎年金(20歳前障害)は、年齢や制度の変化により支給停止となることがあります。

  • 65歳以降の新規申請は不可(例外あり)
  • 障害認定日に要件を満たしていなかったと後から判断された
  • 障害者施設等に長期入所しているなどのケース

詳細はケースバイケースですが、制度上の理由で支給が終了する場合もあるため注意が必要です。


支給が一度停止されたからといって、必ずしも「一生もらえない」というわけではありません。

たとえば…

  • 状態が再び悪化した
  • 再審査の結果、支給対象と判断された
  • 手続きの遅れが解消された

といった場合には、支給再開(復活)が認められることもあります。

ただし、再開を希望する場合には、

  • 症状が悪化していることの証明(診断書)
  • 日常生活への支障の証明(病歴・就労状況等申立書)

などが必要です。


障害年金の支給停止を避けるには、日ごろからの準備と丁寧な申請書類の作成が重要です。

✔ 診断書を丁寧に依頼する

医師に症状の影響を正確に伝え、日常生活の困難さや支援の必要性が診断書に反映されるよう依頼しましょう。

✔ 生活状況をメモや日記に残しておく

症状の波がある場合や、見た目では分かりにくい障害の場合、日常の記録が大切な証拠になります。

✔ 更新時期を忘れないように管理

スマホのカレンダーや手帳で、次回の更新時期をリマインド設定しておくと安心です。

✔ 就労する場合は支給への影響を確認

就労移行支援や障害者雇用など、制度に配慮された就労方法を選ぶことで、支給停止を避けられる場合もあります。


「更新手続きが不安」「支給が止まりそうで心配」「再申請したい」など、迷った時には障害年金に詳しい社会保険労務士に相談することをおすすめします。

社労士は、書類の作成や医師への依頼文の作成、年金事務所とのやりとりまで幅広く対応してくれるため、安心して手続きを進めることができます。


障害年金の支給停止は、誰にでも起こり得る問題です。しかし、正しい知識を持ち、事前に準備しておけば、防げるケースも多くあります。

《支給停止となる主なケース》

原因内容
障害の改善状態が軽くなり等級を満たさなくなった
就労状況の変化フルタイム勤務・高収入など
手続きの遅れ診断書未提出・更新忘れ
制度上の制限年齢制限や制度変更に該当した

「最近体調が良くなったから心配」「更新が近いけど手続きがわからない」そんな方は、ぜひ一度専門家にご相談ください。障害年金の受給継続に向けて、適切なサポートをご提案いたします。