障害年金の等級とは?1級・2級・3級の違いと認定基準

障害年金を申請するにあたって、「自分の障害は何級に該当するのか?」という点は非常に重要なポイントです。等級によって、受給できる年金の種類や金額が大きく異なるため、制度の仕組みをしっかりと理解しておく必要があります。

この記事では、障害年金の等級制度について、1級・2級・3級の違いや認定基準、また実際に認定されるためのポイントをわかりやすく解説します。


障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。それぞれの制度で定められた等級があり、障害の重さや日常生活への影響度に応じて等級が決定されます。

年金の種類該当する等級対象となる加入者
障害基礎年金1級・2級国民年金のみに加入していた人
障害厚生年金1級・2級・3級厚生年金に加入していた人

つまり、国民年金のみに加入していた人は1級か2級のみ、厚生年金に加入していた人は3級も含めて判定されます。


■ 1級(最重度)

【定義】
日常生活のすべてについて他人の介助を必要とする状態。

【認定基準の例】

  • 身の回りのこと(食事、着替え、トイレ等)が1人ではほとんどできない
  • 寝たきりや重度の知的障害・精神障害がある
  • 視覚・聴覚・四肢に重篤な障害がある

【受給内容】

  • 障害基礎年金 1級:約103万円(年額、令和7年度目安)+子の加算あり
  • 障害厚生年金 1級:報酬比例部分×1.25+障害基礎年金1級

※障害厚生年金では1級は加算付きの支給となります。


■ 2級(中等度)

【定義】
日常生活に著しい制限を受けるか、日常生活において常に援助が必要な状態。

【認定基準の例】

  • 自力で日常生活は送れるが、就労や外出は難しい
  • 精神疾患により社会生活が困難
  • 補助具がなければ移動できない等の状態

【受給内容】

  • 障害基礎年金 2級:約83万円(年額)+子の加算あり
  • 障害厚生年金 2級:報酬比例部分+障害基礎年金2級

■ 3級(軽度)

【定義】
労働に著しい制限を受ける、または労働に制限を加えることを必要とする状態。

【認定基準の例】

  • 身体に機能障害があり、以前の職務を継続できない
  • 通常の就労は困難だが、軽作業は可能な場合

【受給内容】

  • 障害厚生年金 3級:報酬比例部分のみ(最低保障年額あり:約62万円/令和7年度目安)
  • 障害基礎年金には3級の設定はなし

等級は、日本年金機構の審査によって決定されます。主な資料としては、以下の書類が必要です:

  • 診断書(主治医に記載してもらう)
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 各種の参考資料(障害者手帳、通院記録など)

この中でも特に重要なのが診断書の内容です。医師が書く障害の状態、日常生活の様子、就労状況などが、等級判断のカギとなります。


■ 1. 病名だけで判断されない

「この病気だから2級になる」といった基準ではなく、日常生活や就労への影響度をもとに総合的に判断されます。

同じ病気でも、生活にどれだけ支障があるかで等級は異なるため、実態に即した書類作成が重要です。

■ 2. 「軽く見られがち」な精神障害こそ慎重に

うつ病や統合失調症などは、外見からは障害がわかりにくいため、具体的な生活の困難さを詳細に書くことが大切です。家族の援助が必要かどうか、就労できているかなどが重視されます。

■ 3. 認定は「日常生活能力」から判断される

医療的な重症度ではなく、あくまで「生活における能力」で判断されます。たとえば、日中はベッドで寝ていて家事もできないような場合は、2級以上になる可能性があります。


障害年金の等級は、単に「障害の重さ」だけで決まるのではなく、「日常生活の困難さ」や「就労への制限」なども大きく影響します。正しい等級を受けるためには、申請書類の内容が非常に重要です。

✅ 今回のポイント

  • 等級は1級~3級で、加入していた年金制度により対象が異なる
  • 認定は病名でなく「生活への支障の程度」で決まる
  • 特に診断書と申立書が認定に直結する
  • 精神・内部障害は外見でわからない分、記述が重要

自分で書類を整えるのが難しい場合や、等級について不安がある方は、障害年金に詳しい社会保険労務士に相談するのがおすすめです。

適正な等級で支給を受け、安心して生活を送るためにも、制度をしっかり理解しておきましょう。