国民年金と厚生年金の違い|障害年金にどんな影響がある?

病気やケガによって生活や仕事が困難になった場合に受け取れる「障害年金」。この障害年金には、「国民年金」と「厚生年金」 の2つの制度が関係しています。しかし、「国民年金と厚生年金の違いがよくわからない」「どちらに加入していたかで障害年金の受給額は変わるの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、国民年金と厚生年金の違いを解説し、それが障害年金の受給にどう影響するのかを詳しく説明 していきます。


(1)国民年金とは?

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「基礎的な年金制度」 です。自営業者やフリーランス、学生、無職の方も加入し、保険料は一律で決められています。

対象者:すべての日本国民(20歳~60歳)
保険料:定額(月額17,510円 ※2025年度)
年金の種類:障害基礎年金・老齢基礎年金・遺族基礎年金
給付額:障害基礎年金は1級で約103万円、2級で約83万円(2025年度)

(2)厚生年金とは?

厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度 で、国民年金の上乗せとして支給されます。保険料は収入に応じて変動し、将来もらえる年金額も給料に比例して増えます。

対象者:会社員、公務員
保険料:収入に応じて変動(労使折半)
年金の種類:障害厚生年金・老齢厚生年金・遺族厚生年金
給付額:加入期間や収入によって異なる(最低保障あり)


障害年金は、「初診日がどの年金制度に加入していたか」によって、受け取れる年金の種類が異なります。

初診日対象となる年金等級支給額
国民年金加入中障害基礎年金1級・2級固定額(1級:約103万円、2級:約83万円)
厚生年金加入中障害厚生年金1級・2級・3級基礎年金+報酬比例部分(給与に応じて変動)

(1)国民年金加入者の障害年金(障害基礎年金)

初診日が国民年金の加入期間中だった場合は、障害基礎年金が支給 されます。

対象:自営業・学生・フリーランス・無職の人など
等級:1級または2級のみ(3級はなし)
給付額(2025年度)

  • 1級:約103万円+子の加算
  • 2級:約83万円+子の加算

障害基礎年金は、加入者全員が同じ金額を受け取るため、収入の影響を受けません。ただし、3級の等級がないため、軽度の障害の場合は支給されないことがある ので注意が必要です。


(2)厚生年金加入者の障害年金(障害厚生年金)

会社員や公務員として厚生年金に加入している期間に初診日がある場合、障害厚生年金を受給 できます。

対象:会社員・公務員
等級:1級・2級・3級(3級は障害基礎年金にはない)
給付額

  • 1級:障害基礎年金+報酬比例部分×1.25倍
  • 2級:障害基礎年金+報酬比例部分
  • 3級:報酬比例部分のみ(最低保証あり)

厚生年金に加入している場合は、3級の等級があるため、比較的軽度の障害でも受給できる可能性がある ことが大きなメリットです。また、受給額は過去の給与額に応じて増減する ため、高所得者ほど年金額が高くなります。


障害年金を考えた場合、厚生年金のほうが受給条件や金額の面で有利 です。

厚生年金なら3級の等級でも受給できる(国民年金は1級・2級のみ)
障害厚生年金は、給与に応じた報酬比例部分が上乗せされる
20年以上厚生年金に加入していると「配偶者加給年金」も支給される

一方、国民年金のみの加入者は、等級が2級以上でなければ受給できないため、ハードルが高くなる 傾向があります。


障害年金の申請を考える際には、「初診日がどの年金制度に加入していたか」が重要なポイントとなります。

国民年金は自営業・フリーランス・学生・無職の人が対象で、障害基礎年金のみ支給
厚生年金は会社員・公務員が対象で、障害厚生年金として報酬比例部分が上乗せされる
厚生年金のほうが支給額が多く、3級でも受給できる可能性があるため有利

障害年金の申請は複雑ですが、適切に準備を進めれば受給できる可能性があります。もし制度について不安がある場合は、専門の社会保険労務士に相談するのも一つの方法です。正しく申請して、必要な支援を受けましょう!