障害年金と障害者手帳の違いとは?
障害を持つ方が利用できる公的な制度には「障害年金」と「障害者手帳」があります。しかし、これらの制度の違いが分からず、「どちらを申請すればいいのか」「両方を受けられるのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、障害年金と障害者手帳の違いを詳しく解説し、それぞれの制度の目的や受給要件、メリットなどを分かりやすく説明します。
1. 障害年金と障害者手帳の基本的な違い
1-1. 制度の目的の違い
障害年金は、障害によって仕事や日常生活に支障がある方の経済的支援を目的とした「年金制度」の一部です。一方、障害者手帳は、障害を持つ方が生活しやすくなるように、福祉サービスや各種支援を受けるための「証明書」です。
項目 | 障害年金 | 障害者手帳 |
---|---|---|
目的 | 生活費の補助 | 福祉サービスの提供 |
給付内容 | 金銭支給(年金) | 各種割引・支援 |
管轄 | 日本年金機構 | 各自治体 |
申請先 | 年金事務所 | 市区町村役所 |
1-2. 受給・取得できる対象者の違い
- 障害年金は、一定の障害の程度があり、かつ「初診日要件」「保険料納付要件」などを満たした方が対象です。
- 障害者手帳は、障害の程度に応じて取得でき、年金の加入状況に関係なく交付されます。
2. 障害年金の概要
2-1. 障害年金とは?
障害年金は、公的年金制度(国民年金・厚生年金)に基づく給付の一つで、障害の程度に応じて年金が支給されます。
2-2. 受給要件
障害年金を受給するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 初診日要件:障害の原因となる病気やケガの「初診日」が年金加入中であること。
- 保険料納付要件:一定の期間、年金保険料を納めていること。
- 障害認定基準:障害が一定の基準以上であること(障害等級1級または2級)。
2-3. 障害年金の支給額
障害年金の支給額は、年金の種類や等級によって異なります。
- 障害基礎年金(国民年金)
- 1級:約103万円/年
- 2級:約83万円/年
- 子の加算あり
- 障害厚生年金(厚生年金)
- 1級:報酬比例額×1.25+配偶者加算
- 2級:報酬比例額+配偶者加算
- 3級:最低保障約62万円/年
2-4. 申請方法
障害年金は、年金事務所や街角の年金相談センターで申請できます。必要書類には診断書や病歴・就労状況等申立書などがあります。
3. 障害者手帳の概要
3-1. 障害者手帳とは?
障害者手帳は、障害のある方が福祉サービスや支援を受けやすくするための証明書です。手帳の種類は以下の3つに分かれます。
- 身体障害者手帳(身体障害者福祉法に基づく)
- 精神障害者保健福祉手帳(精神保健福祉法に基づく)
- 療育手帳(知的障害者向け、都道府県ごとに基準が異なる)
3-2. 取得の条件
障害者手帳の取得は、障害の程度によって決まります。診断書や医師の意見書をもとに審査が行われ、障害の程度によって等級(1級〜6級など)が決まります。
3-3. 障害者手帳のメリット
障害者手帳を持っていると、以下のような支援が受けられます。
- 交通機関の割引(電車・バス・タクシー)
- 税金の控除や減免(所得税・住民税・自動車税など)
- 医療費の助成
- 公共施設の利用料割引(映画館・美術館・動物園など)
- 就労支援や福祉サービス(障害者雇用制度の活用)
申請は住んでいる市区町村の窓口で行い、審査に通ると手帳が交付されます。
4. 障害年金と障害者手帳は両方もらえる?
結論として、障害年金と障害者手帳は別の制度であり、両方の申請・受給が可能です。
ただし、以下の点に注意しましょう。
- 障害年金の等級と障害者手帳の等級は必ずしも一致しない
- 障害者手帳がなくても障害年金を受給できる(その逆も同様)
- 手帳の等級が低くても、障害年金の要件を満たせば受給できる可能性がある
障害年金と障害者手帳を組み合わせることで、経済的支援と福祉サービスの両方を活用できます。
5. まとめ
障害年金と障害者手帳の違いを整理すると、次のようになります。
- 障害年金:経済的支援が目的で、年金保険の加入状況や障害の程度によって支給される。
- 障害者手帳:福祉サービスを受けるための証明書で、自治体の審査に基づいて交付される。
- 両方の制度を利用することが可能であり、それぞれのメリットを活かして生活の支えにすることが重要。
障害年金の申請や障害者手帳の取得について不明点がある場合は、社会保険労務士や自治体の窓口に相談するとよいでしょう。ご自身の状況に合わせて、適切な制度を活用してください。