退職後でも間に合う?障害年金の申請方法と注意点

「会社を辞めた後でも障害年金は申請できるのか?」――これは多くの方から寄せられるご相談のひとつです。退職して保険料の納付状況や加入制度が変わると、「もう障害年金は請求できないのでは…」と不安に感じる方も少なくありません。

結論から言えば、退職後であっても障害年金の申請は可能です。ただし、初診日の時期や年金制度の加入状況によっては受給できないケースもあるため、注意が必要です。この記事では、退職後に障害年金を申請する際の流れと押さえておくべきポイントを解説します。


障害年金の申請では、まず「初診日」を特定することが最も重要です。
初診日とは、障害の原因となった病気やけがで初めて医療機関を受診した日を指します。

障害年金の制度では、申請時点の加入状況ではなく「初診日時点でどの年金制度に加入していたか」が基準となります。

  • 初診日に 厚生年金に加入していた場合 → 障害厚生年金の対象
  • 初診日に 国民年金に加入していた場合 → 障害基礎年金の対象
  • 初診日が 20歳未満の場合 → 「20歳前障害」として障害基礎年金の対象

つまり、退職後に症状が悪化して申請を検討する場合でも、初診日が会社員時代で厚生年金に加入していたなら障害厚生年金の対象になります。


退職後に申請を検討する場合、以下のケースに分けられます。

① 初診日が会社員時代(厚生年金加入中)

この場合、退職後でも障害厚生年金を請求できます。障害厚生年金は基礎年金に加えて上乗せされるため、受給額が多くなるメリットがあります。

② 初診日が自営業や無職の時期(国民年金加入中)

この場合は障害基礎年金の対象になります。国民年金には3級がないため、受給できるのは原則として1級または2級に該当する場合のみです。

③ 初診日が20歳未満の時期

この場合は「20歳前障害」として障害基礎年金を請求できます。保険料の納付要件は問われないため、発達障害や先天性疾患の方が対象になることもあります。


退職後に申請を検討する際に見落とされやすいのが「保険料納付要件」です。
障害年金を受けるためには、初診日の前日に次の条件を満たしている必要があります。

  1. 初診日のある月の 前々月までの年金加入期間のうち、3分の2以上の期間で保険料が納付または免除されている
  2. 直近1年間に未納がないこと

退職後に障害年金を申請する場合の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 初診日の証明を取る
    医療機関に「受診状況等証明書」を依頼し、初診日を証明します。
  2. 診断書を依頼する
    障害年金用の診断書(精神障害用、肢体障害用など障害ごとに様式が異なる)を主治医に記載してもらいます。
  3. 病歴・就労状況等申立書を作成する
    発症から現在までの経過、就労状況、日常生活での困難を具体的に記入します。
  4. 申請書類を年金事務所へ提出する
    提出後、審査が行われ、数か月後に結果が通知されます。

1. 退職日を基準に判断しないこと

「退職したから障害年金を申請できない」と誤解している方が多いですが、基準となるのはあくまで「初診日」です。

2. 離職票や雇用保険の記録も参考資料に

初診日や就労状況を証明する際、退職時の書類(離職票・雇用保険被保険者証など)が役立つ場合があります。

3. 早めに準備することが大切

退職後は収入が減る中で生活が不安定になりやすいため、障害年金の申請を先延ばしにせず、できるだけ早めに動くことが重要です。


障害年金の申請は、医師への診断書依頼や病歴の整理など専門的な知識が必要です。特に退職後のケースでは、「初診日がどの制度に属するか」「納付要件を満たしているか」など判断が複雑になります。

社会保険労務士に依頼することで、以下のメリットがあります。

  • 初診日の特定や証明書の取得をサポート
  • 医師への診断書依頼の際に必要な説明をサポート
  • 病歴・就労状況等申立書の作成を支援
  • 不支給になった場合の再申請にも対応

退職後であっても、障害年金の申請は可能です。大切なのは、初診日を正しく特定すること、そして保険料納付要件を満たしているか確認することです。

「会社を辞めてからでは遅いのでは?」と諦めてしまう方もいますが、適切に手続きを進めれば受給できる可能性は十分にあります。

不安な方は、障害年金専門の社会保険労務士に相談し、早めに準備を始めることをおすすめします。


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