【受給後】障害年金と他の福祉制度の併用はできる?
障害年金を受給している方の中には、「ほかの福祉制度も利用できるのだろうか?」と疑問を持っている方が多いのではないでしょうか。
実は、障害年金と他の福祉制度は、条件を満たせば併用可能なものが多くあります。障害年金は“収入”という側面が強い制度ですが、それ以外にも福祉の支援策はたくさんあり、生活の安定を図るために積極的に活用することが推奨されます。
本記事では、障害年金受給者が利用できる主な福祉制度と併用時の注意点をわかりやすく解説します。
◆ 障害年金と併用できる主な福祉制度
1. 障害者手帳(身体・精神・療育)
障害年金を受給していても、障害者手帳は別途取得可能です。
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳(知的障害)
障害年金と手帳の等級は連動していないため、障害年金2級でも手帳は3級ということもあれば、その逆もあり得ます。取得することで、以下のような支援を受けられる場合があります。
利用できる支援例:
- 医療費助成
- 公共交通機関の割引
- 税金の控除
- 公営住宅の優遇
- 就労支援
2. 自立支援医療(精神通院・更生医療)
医療費の自己負担を軽減する制度です。特に精神疾患で通院している方に多く利用されています。
- 通常3割負担→1割負担に軽減
- 所得に応じて月額上限設定あり
- 障害年金の受給有無に関係なく利用可能
申請は自治体の福祉窓口を通じて行います。
3. 障害福祉サービス(生活支援・就労支援など)
市区町村が提供している福祉サービスも併用できます。サービス内容は地域によって異なりますが、以下のようなものがあります。
- 居宅介護(ホームヘルプ)
- 就労継続支援A型・B型
- 生活介護・日中活動支援
- 共同生活援助(グループホーム)
これらは障害者手帳が必要となるケースが多いため、まずは手帳の取得を検討しましょう。
4. 生活保護との関係
障害年金を受給していても、収入や家族の状況などに応じて生活保護の対象となる場合があります。
ただし、生活保護は「最後のセーフティネット」であり、障害年金は収入と見なされて計算に組み込まれます。
ポイント:
- 年金額が生活保護基準に満たない場合は併用可
- 年金を超える部分だけ保護費が支給される
- 障害年金を辞退することは原則不可
生活保護受給中に障害年金が支給決定されると、保護費が減額または停止になる場合もあります。
5. 各種税金の控除・減免制度
障害年金の受給や障害者手帳の保持により、所得税・住民税の控除や、軽自動車税の減免、NHK受信料の免除などの制度を利用できる可能性があります。
代表的な税制優遇:
- 障害者控除(所得税・住民税)
- 医療費控除
- 相続税の障害者控除
- 自動車税・軽自動車税の減免
申請はそれぞれの自治体や税務署で行う必要があります。
◆ 福祉制度と併用する際の注意点
① 自治体ごとに内容が異なる
障害福祉サービスの中には、市町村によって名称・内容・対象者が異なる制度が多くあります。お住まいの自治体のホームページや福祉課で最新情報を確認することが重要です。
② 必要書類の準備・更新が必要
制度ごとに、診断書、障害者手帳、所得証明などの書類が求められます。期限内の更新を忘れると支給が止まることもあるため、手帳や制度の有効期間をしっかり管理しておきましょう。
③ 就労支援制度との関係
障害年金を受給していても、就労を希望する場合には支援を受けられる制度(就労移行支援、A型・B型事業所など)があります。
「働きながら年金をもらえるのか?」と不安な方もいますが、一定の条件を満たせば可能です。ただし収入の状況次第では、障害年金の更新時に影響が出る可能性もあるため、事前に専門家に相談することが大切です。
◆ まとめ:障害年金は“併用”がカギ
障害年金を受給しているだけでは、生活が十分に安定しないケースも多いのが現実です。しかし、障害年金は多くの福祉制度と併用できるため、賢く利用することで生活の質を大きく向上させることができます。
◎ 障害年金と併用できる主な制度まとめ(図解)
制度名 | 受給条件 | メリット |
---|---|---|
障害者手帳 | 診断・認定 | 医療費助成、交通機関割引など |
自立支援医療 | 通院治療 | 医療費1割に軽減 |
障害福祉サービス | 手帳取得 | 居宅介護、就労支援など |
生活保護 | 所得基準 | 最低限の生活保障 |
税制優遇制度 | 手帳・受給者 | 所得控除・税金減免など |
制度の内容は複雑で、誤解も多くあります。「自分は対象になるのか分からない」「手続きの仕方がわからない」という場合は、障害年金に詳しい社会保険労務士や地域の福祉窓口に早めに相談しましょう。
当事務所でも、障害年金と併用できる制度や支援についてのアドバイスを無料で行っております。お気軽にご相談ください。