障害年金を受給するメリット・デメリットを徹底比較
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に支障が出たとき、経済的に支援を受けられる大切な公的制度です。
しかし、「申請して本当に良いのか」「もらった後に不利になることはないか」など、不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、障害年金を受給することのメリットとデメリットをわかりやすく解説します。受給を検討している方の参考になれば幸いです。
◆ 障害年金を受給する“メリット”とは?
障害年金には、さまざまなメリットがあります。以下に代表的なポイントをまとめました。
① 経済的な支援が受けられる
最大のメリットは、定期的な年金が受け取れることです。
- 国民年金(障害基礎年金)
→ 1級:約103万円/年、2級:約83万円/年(※令和7年度目安) - 厚生年金(障害厚生年金)
→ 3級でも支給対象になり、報酬額により金額が変動
これにより、収入が途絶えても最低限の生活を支えることができます。
② 生活保護を受ける前の支援になる
障害年金は生活保護より先に利用されるべき「優先制度」です。
つまり、生活保護を申請する前に障害年金を活用することが推奨されています。これにより、生活の自立やプライバシーの保持にもつながります。
③ 医療費が軽減される制度もある
障害年金の受給者になると、自治体によっては以下のような支援を受けられることがあります。
- 自立支援医療(精神通院など)
- 医療費助成(自治体による減免制度)
- 障害者控除の適用(所得税・住民税の軽減)
経済的な負担が大きい中で、これらの制度が活用できるのは大きな安心材料です。
④ 障害者雇用の対象になりやすくなる
障害年金を受給していることで、「障害者手帳」とは別に障害の状態が公的に認定されるため、就労支援や障害者雇用枠での採用に繋がるケースもあります。
⑤ 過去にさかのぼって支給されることがある
障害認定日以降に申請が遅れた場合でも、最大5年まで遡って支給を受けることが可能です。
過去分の一時金として受け取れるため、まとまった支援につながります。
◆ 障害年金の“デメリット”とは?
一方で、障害年金の受給にはいくつか注意点やデメリットもあります。以下の内容を把握したうえで、受給を検討しましょう。
① 申請手続きが複雑で難しい
最も多くの方が悩まれるのが、申請手続きの煩雑さです。
- 必要書類が多い(初診日の証明・診断書・申立書など)
- 医師との連携が不可欠
- 書類の記載方法次第で不支給になることもある
特に精神疾患などの場合、症状をうまく伝えられず、不支給や不利な等級で決定されることもあります。
② 支給が打ち切られることがある
障害年金は、一定期間ごとに「更新審査」が行われます。
状態が軽快したと判断されると、
- 等級が下がる
- 支給が停止される
といったケースもあり、一度受給が決まっても継続が確約されているわけではない点には注意が必要です。
③ 所得制限や影響を受ける制度がある
障害年金は非課税ですが、他の制度への影響が出ることもあります。
例:
- 生活保護 → 障害年金が収入とみなされる
- 児童扶養手当 → 減額や停止になることがある
- 住宅手当や医療費助成 → 所得判定に影響
事前に市区町村の福祉担当窓口などに確認することが大切です。
④ 社会的な偏見を気にする方も
障害年金の受給は法的に正当な権利ですが、「障害」という言葉に対する偏見や誤解が残っているのも事実です。
職場や知人に話しづらい、手帳や年金の存在が知られることが不安…という方も少なくありません。
◆ 受給をためらう必要はあるのか?
「デメリットがあるなら、申請しない方が良いのでは?」と考える方もいますが、障害年金は「困っている人が使っていい制度」です。
それでも迷う場合は、
- 一度専門家(社労士)に相談してみる
- 影響が出る制度や手当の整理をしておく といった準備をすると安心です。
◆ まとめ:障害年金は“自立の第一歩”
障害年金の受給は、「甘え」でも「後ろめたいこと」でもありません。
むしろ、将来を前向きに生きるための一歩として、正当に利用すべき制度です。
【この記事のまとめ】
メリット | デメリット |
---|---|
定期的な収入の確保 | 手続きが複雑 |
医療費などの減免制度あり | 更新による支給停止の可能性 |
就労支援や社会保障制度との連携 | 他制度への影響あり |
遡及支給も可能 | 社会的な偏見を感じることも |
「受給できるかわからない」「申請を自分でするのが不安」という方は、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。
専門の社労士があなたの状況を丁寧にヒアリングし、最適な支援をご提案します。