障害年金の受給には年金の加入期間が影響する?納付要件を解説

障害年金を申請する際、審査では「どのような障害があるか」「日常生活にどの程度の支障があるか」だけでなく、年金の加入状況や納付履歴も重要な判断材料となります。
このときに関係してくるのが「納付要件」です。

この記事では、障害年金の受給に必要な納付要件について、制度の基本から例外まで詳しく解説します。申請を検討している方やご家族の方は、ぜひご確認ください。


障害年金は、国民年金や厚生年金といった公的年金制度に加入している人が、病気やけがによって障害を負った際に、一定の条件を満たせば受け取ることができる制度です。

この制度を利用するためには、障害の程度だけでなく、「保険料をきちんと納めているか」という納付要件をクリアしている必要があります。


障害年金では、「初診日(最初に医療機関を受診した日)」が基準となり、初診日の時点で納付要件を満たしているかどうかが審査されます。

つまり、初診日以前に年金をしっかり納めていたかどうかが、障害年金を受け取れるかどうかの大きな分かれ目になります。


納付要件には、次の2つの基準があり、どちらかを満たしていればOKです。

(1)初診日の前々月までの加入期間の2/3以上が納付または免除されている

  • 初診日の属する月の前々月までにおける年金加入期間を対象とし、
  • そのうち、2/3(約66.6%)以上の期間について保険料を納めているか、免除を受けていることが条件となります。

【例】

初診日が2024年7月の場合 → 判定対象は「2024年5月までの加入期間」

仮に年金に加入していた期間が60か月あったとすれば、40か月以上が納付または免除されていれば納付要件を満たします。


(2)直近1年間に未納がない場合(特例)

2/3に届かない場合でも、次の条件を満たしていれば、特例として納付要件を満たすと判断されます。

  • 初診日の属する月の前々月までの1年間に未納がないこと

この特例は、加入期間が短い若い方や納付を忘れていた期間がある方にとって救済的な意味を持っています。


保険料を全額または一部免除されていた場合でも、きちんと申請して認められていれば「納付」と同じ扱いになります。

また、学生などが受けられる「学生納付特例」や、失業時の「納付猶予制度」も、手続きをしていれば納付済期間と同様にカウントされます。

ただし、「未納」(払っていないし申請もしていない)はカウントされませんので要注意です。


残念ながら、納付要件を満たしていない場合、障害年金の請求は原則としてできません
制度の根幹が「保険」である以上、加入者が一定の負担(保険料)をしていることが前提とされるからです。

しかし、「20歳前障害」や「被用者(会社員)として厚生年金に加入中に初診がある場合」など、状況によっては例外や特例もありますので、あきらめずに専門家に相談しましょう。


自分の年金加入履歴がわからない、納付状況に不安があるといった場合は、次の方法で確認できます。

【確認方法】

  • 年金記録(ねんきん定期便・ねんきんネット)
  • 年金事務所での記録開示
  • 社労士など専門家への相談

障害年金の申請を考える際には、まずはこの納付要件の確認から始めることをおすすめします。


Q:保険料を未納にしていた期間があるけど、遡って払えば要件を満たせますか?

A:できません。
障害年金における納付要件は、初診日時点での状況で判断されるため、後からさかのぼって納めても納付状況には反映されません。


Q:過去に免除申請をしていなかった期間はどうなりますか?

A:その期間は「未納」扱いになります。
申請して認められていれば問題ありませんが、申請していないと免除期間としてはカウントされず、納付要件のクリアが難しくなります。


障害年金の申請には、病状や生活の困難さを証明する書類の準備が重要ですが、それ以前に「納付要件を満たしているか」の確認が不可欠です。

【納付要件のチェックポイント】

  • 初診日の前々月までの加入期間の2/3以上が納付または免除
  • または、直近1年間に未納がない

もし納付状況に不安がある場合や、記録の確認が難しい場合は、障害年金に詳しい社会保険労務士に相談することで、最適な対応方法が見つかる可能性があります。


当事務所では、無料相談を実施しています。
納付要件の確認から書類準備、申請まで、安心して進められるようサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。