障害年金とは?制度の目的と支給の仕組みを解説
病気やケガで生活や仕事に支障が出た場合、経済的な不安を抱えることは少なくありません。そんなときに支えとなる制度の一つが「障害年金」です。障害年金は、一定の条件を満たす人が受給できる公的年金制度であり、病気や障害の程度に応じて支給されます。
本記事では、障害年金の目的や支給の仕組み、受給条件などについて詳しく解説していきます。障害年金を申請しようと考えている方や、制度について知りたい方の参考になれば幸いです。
1. 障害年金とは?制度の目的を解説
障害年金とは、公的年金制度の一部であり、病気や障害によって生活や仕事に制限がある方に対して支給される年金です。高齢者向けの老齢年金とは異なり、若い世代でも病気や障害があれば受給できる可能性がある点が特徴です。
(1) 障害年金の目的
障害年金の目的は、病気や障害によって働くことが難しくなった人の生活を支えることです。たとえば、以下のようなケースに該当する方が受給対象となる可能性があります。
✅ 病気や障害で仕事ができなくなった
✅ 障害のために収入が減少し、生活に困っている
✅ 障害がありながらも就労を続けているが、支援が必要
障害年金は、こうした人々の経済的な負担を軽減し、生活の安定を図るための制度です。
(2) 障害年金と障害者手帳の違い
障害年金とよく混同される制度に「障害者手帳」がありますが、この2つは目的が異なります。
項目 | 障害年金 | 障害者手帳 |
---|---|---|
目的 | 経済的な支援 | 福祉サービスの提供 |
支給の有無 | 年金として支給 | 金銭の支給はなし |
等級 | 1級・2級(厚生年金は3級もあり) | 1級~7級 |
申請先 | 日本年金機構(年金事務所) | 各自治体(市区町村役所) |
このように、障害年金は「生活を支えるための金銭的支援」、障害者手帳は「福祉サービスを受けるための証明書」という違いがあります。
2. 障害年金の支給の仕組みとは?
障害年金には、大きく分けて障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。それぞれの違いを見ていきましょう。
(1) 障害基礎年金とは?
障害基礎年金は、国民年金に加入している人(自営業者・学生・無職の人など)が対象の年金です。初診日(病気やケガで初めて病院を受診した日)が国民年金の加入期間内にある場合に支給されます。
✅ 対象者:国民年金の加入者(20歳以上60歳未満)
✅ 等級:1級・2級
✅ 支給額(2025年度):
- 1級:年間約103万円(子の加算あり)
- 2級:年間約83万円(子の加算あり)
子供がいる場合、子の加算がつくため、支給額が増えることがあります。
(2) 障害厚生年金とは?
障害厚生年金は、会社員や公務員など、厚生年金に加入していた人が対象の年金です。障害基礎年金よりも支給額が多くなるケースがあり、3級の等級もあるのが特徴です。
✅ 対象者:厚生年金の加入者(会社員・公務員など)
✅ 等級:1級・2級・3級
✅ 支給額:加入期間や給与に応じて変動(3級の場合は最低保障額あり)
障害厚生年金は、厚生年金に加入していた期間の収入に応じて支給額が決まるため、個々のケースによって異なります。
3. 障害年金を受給するための条件
障害年金を受給するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
(1) 初診日要件
障害年金は、病気やケガで初めて病院を受診した日(初診日)が国民年金または厚生年金の加入期間内にあることが条件となります。
✅ 例:会社員時代に発症し、退職後に症状が悪化 → 障害厚生年金の対象
✅ 例:学生時代に発症し、20歳以降も障害が続いている → 障害基礎年金の対象
初診日を証明する書類が必要なため、受診歴を記録しておくことが重要です。
(2) 保険料納付要件
障害年金を受給するためには、一定の期間、年金保険料を納めていることが必要です。
✅ 直近1年間に未納がないこと
✅ 加入期間のうち、2/3以上の期間で保険料を納めていること
この条件を満たしていないと、原則として障害年金を受給できません。
(3) 障害認定基準
障害年金は、病気や障害の程度が一定以上であることが認定基準となります。
✅ 1級:日常生活に常時介助が必要
✅ 2級:日常生活が困難であり、一定の支援が必要
✅ 3級(厚生年金のみ):労働に著しい制限がある
医師の診断書が必要であり、適切な記載がされていないと不支給となる可能性があります。
4. まとめ
障害年金は、病気や障害で働くことが難しい方を経済的に支える重要な制度です。
✅ 障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」がある
✅ 受給には「初診日要件」「保険料納付要件」「障害認定基準」を満たす必要がある
✅ 適切な手続きを行えば、20歳以上の若い世代でも受給可能
障害年金の申請は複雑なため、不安がある場合は社労士に相談するのもおすすめです。正しく申請して、必要な支援を受けましょう。