20歳前に発症した場合、障害年金はもらえるの?
障害年金は、病気やけがで一定の障害状態になったときに支給される公的年金制度ですが、通常は年金保険料を支払っていることが受給の条件になります。しかし、20歳前に発症した場合でも障害年金を受給できる可能性があります。
本記事では、「20歳前に発症した場合の障害年金」について詳しく解説し、受給要件や申請方法、注意点などを紹介します。
1. 20歳前に発症した場合の障害年金とは?
20歳前に発症した障害については、「20歳前障害による障害基礎年金」 という制度があります。これは、国民年金に未加入の期間に発症した障害であっても、一定の条件を満たせば障害基礎年金を受給できる制度 です。
📌 ポイント
- 20歳前の障害でも 年金保険料の納付要件が不要
- 受給できるのは 障害基礎年金のみ(障害厚生年金は対象外)
- 20歳になった後に申請手続きを行う
- 一定の所得があると支給制限(所得制限)がかかる
この制度は、先天性疾患や子どもの頃に発症した病気・障害を持つ方のための救済措置 といえます。
2. 受給要件(20歳前障害による障害基礎年金)
20歳前障害による障害基礎年金を受給するには、次の条件を満たしている必要があります。
(1)初診日が20歳前であること
障害の原因となる病気やけがの 初診日が20歳になる前 であることが必要です。例えば、以下のようなケースが該当します。
✅ 先天性疾患(例:先天性心疾患、染色体異常など)
✅ 幼少期に発症した病気(例:小児がん、糖尿病、精神疾患など)
✅ 事故による障害(例:交通事故、スポーツ事故など)
このように、20歳前に発症し、通院歴があることが重要 です。
(2)障害の程度が1級または2級であること
障害基礎年金は、障害の程度が1級または2級に該当 する場合に支給されます。
- 1級 … 常時介護が必要な状態
- 2級 … 日常生活に著しい制限がある状態
📌 ポイント
- 障害等級3級は対象外(障害厚生年金のみ適用)
- 障害認定基準に基づいて審査される
- 医師の診断書の内容が重要 となる
(3)所得制限がある
20歳前障害による障害基礎年金には、所得制限 があります。
- 本人の所得が一定額を超えると支給停止となる
- 家族の所得は影響しない(本人の所得のみで判定)
📌 令和6年度の目安
- 所得が約490万円以上 → 全額支給停止
- 所得が約360万円以上490万円未満 → 一部支給停止
アルバイトや就労により 一定の収入がある場合、年金が停止されることがあるため注意が必要 です。
3. 申請の流れ
20歳前障害による障害基礎年金の申請は、原則として20歳になった後に手続き を行います。以下の流れで申請を進めましょう。
ステップ①:初診日の証明を取得する
- 初診日のある医療機関で「受診状況等証明書」を取得 する
- 診療録(カルテ)が残っているか確認
- 健康診断や学校の記録も参考になる場合がある
ステップ②:必要書類を準備する
- 年金請求書(年金事務所で入手)
- 診断書(障害年金用・指定様式)
- 病歴・就労状況等申立書(これまでの病状や生活状況を記載)
ステップ③:年金事務所へ申請する
- 年金事務所で手続き を行う
- 申請から約3〜6か月で審査結果が通知される
📌 ポイント
- 診断書の内容が審査のカギ となる
- 申請前に社労士などの専門家に相談するとスムーズ
- 書類の不備があると審査が遅れるため注意
4. 20歳前障害年金の注意点
(1)障害認定日の基準が異なる
通常の障害年金では 初診日から1年6か月後が障害認定日 ですが、20歳前障害の場合は 20歳の誕生日の前日が障害認定日 となります。
(2)障害の状態が20歳時点で軽度の場合、受給できない
- 20歳時点で障害等級に該当しない場合は 受給不可
- 後から症状が悪化した場合、再申請は可能
5. まとめ
20歳前に発症した障害でも、一定の条件を満たせば 「20歳前障害による障害基礎年金」 を受給できます。
✅ 初診日が20歳前であることが必須
✅ 障害の程度が1級または2級であること
✅ 年金保険料の納付要件は不要
✅ 所得制限に注意する必要がある
✅ 20歳になった後に申請を行う
20歳前に発症した障害で生活に支障がある場合は、早めに準備を進め、適切な手続きを行いましょう。申請方法や必要書類に不安がある場合は、年金事務所や社労士に相談するのがおすすめです。